千影が見た風景 第2章 その9
簡易 あらすじ その8
ハエに暴行され気を失って、地下室でうなだれる千影。そこにやってくる冷徹で狡猾な女調教師。いくつかの言葉のやり取りの果て千影は命を天秤にかけ、調教師と交渉をするが通じることは無かった。
「死ぬのは止めたかい?」
やさしく甘く思いやりに溢れ慈愛に満ちた声。悪魔のささやきそのものだ。心がとろける様に死を選んでしまいそうで、胸に抵抗無く入り精神を直接とろけて涙までこぼれそうになった。これが本物の悪魔のささやきなのか・・・・・。恋人よりやさしく愛にあふれた言葉。
「生きて素直な牝犬として可愛がってあげるわ」
「なん・・・なの・・・それは?」
いぶかしげにつぶやいてしまった。心に思ったことを口にしてしまう。心が裸にされている。確かに意思が弱くなっている。
このままじゃ、生きているだけの人形になってしまいそうだ。
「犬さ、愛玩動物! 可愛いだけの生き物。弄ばれるだけの道具。消耗品。ろくなものじゃない」
「い・・・やだ」
「そうよ。心から魂から拒絶しなさい。だって、そのほうが可愛いもの。無力で非力な畜生風情が気持ちだけでも逆らうなんてとっても好きよ」
「いやだ・・・こ・・・わい」
「でも、駄目ね。喜ぶようになるは。見られるのが、いじめられるのが、叩かれるのが、苦しまれるのが、晒されるのが、嘲られるのが、汚されるのが、抉られるのが、嬲られるのが、とぉぉぉぉぉぉてっも好きになってしまうの。そうれしか、それだけしか認めないから」
「ゆるして・・・」
「だぁぁぁめよ!! お姫様、簡単に許しをこいては駄目。私の楽しみは貴方に無駄な抵抗をさせることなんだから」
調教師はいつも一方的だ。このときも一歩的に切り上げて、千影の調教の準備を始めた。フック付のアームカーバーと股間や足をまったく隠していないズボンを千影に着せてやる。丁度ガータベルトのようなエナメルのズボンだ。
途中までしかない腕の先と、太ももまでしかない足の先にフックだけが飛び出ていた。ロープを四つのフックにかけてやると『冂』の形をした磔台に大の字で吊り上げられてしまう。
「こんな真似は…」
千影の顔が屈辱で歪む。感情が自然に顔に出てしまう。気持ちが抑えきれない。
「とっても素直でいい娘よ」
女は千影の後ろに回る。舐めるように吊られた四肢の無い肉の塊を見る。
「まず尻尾を作って上げる」
もう何日も洗っていない髪はゴワゴワになっていた。まとめてあった髪をほどく、背中を隠すように紫色の長い髪が落ちる。櫛を使ってやさしく丁寧にすいてやると柔らかい髪はまっすぐと伸びる。この地獄に落とされて初めて一息つけた気がする。
しかし尻尾とは? 空腹と疲労だけではない。肉体的にも精神的にも考えることが辛かった。
女は以外に細い指で髪を丁寧に編みこんでいく。その間一言もしゃべることは無かった。千影からも口を出すことも無く時間だけが緩やかに過ぎていった。
3時間が過ぎたころ、千影の長い髪は5本のおさげにまとめられた。
「予備も必要だし、いい尻尾になったわ」
「な…」
千影が口を開くと同時に『ブツッ』という鈍い音がして首が軽くなった。おさげが次々と無造作に刈り取られていく。
「………」
千影が喪失を感じながら黙ってうなだれていた。女調教師は慈愛に満ちた微笑を浮かべながら両手で崩れないように大事に千影の髪を持っていった。
「…あにくん」
誰に聞かすわけでもなくつぶやいた。
解説
ちょっと書き直しして見ました。
すごく肝心なところで投げているよ(汗 書きかけ版
断髪です。イラストは無いですけど次回から千影はセミロングです。首のつけねあたりまで、でも前髪の長い二房は残っています。
次回はお尻に指す!!